○お客さまの靴 9

 足の指の付け根の関節は骨が張り出しやすい部位になります。元々、骨が大きい場合もありますし、外反母趾や内反小趾などで後天的に突出してくることもあります。 そのような足の形をお持ちの方は、圧迫や擦れによって生じる痛みや、張り出した骨の形状が靴に出てしまうことに悩まれているようです。

 母趾側の骨の張り出しは、木型の工夫で目立たなくさせるのも擦れを抑えるのも難しくはないのですが、小趾付近は靴を履いた時に外側に押し出されるため、その部位の張り出しの対応は少し難易度が上がります。
 こちらのお客さまは小趾側の骨の張り出しに加えて、とても柔らかい足をお持ちでしたので、それらを考慮して靴の製作に入りました。

 小趾側の骨の張り出しに対しては、締め付けすぎると目立ちますし、なにより痛みが出てしまいます。しかし、柔らかい足は通常の絞り具合では靴の中で足が前すべりしてしまうため、通常よりも多めに絞る必要があるのです。そのバランスをとるのが難しく、今回は仮縫いから本靴へと足の様子を見ながら絞り具合を判断し、最終的には本靴の中敷を全敷にすることで程良いフィッティングを得ることができました。また、柔らかい革で作ったサイドライニングを当該部位の表革と裏革の間に入れることで、クッション性も高めています。

 お客さまのご要望により、同素材のキルティタンをお付けいたしました。靴ひもに通していただくことで簡単に装着できますので、お洋服や気分にあわせて付け外ししていただけます。

○仕様(レディース)
 表革:タンニンキップ 茶
 裏革:ナチュラル
 手縫いステッチ:こげ茶
 靴紐:こげ茶
 ソール:こげ茶