Cacicaのスタンダードラインのうち、ラバーソールパッケージはソール部分の仕様が決まっており、お客様が指定できるのは色のみになりますが、レザーソールパッケージでは、形と色の指定が可能です。
「靴のオーダー」のページでは詳しく書ききれなかったので、改めてこちらで紹介させていただきます。
ソールの形について
まず、ラバーソールパッケージとレザーソールパッケージのソールの形の違いについて。
形と言っても、実用性を考えると、差別化できるのはウエスト部分くらいですので、ウエストの形状による見え方の違いと捉えていただくと良いかもしれません。
ウエスト形状だけというと、少しの違いに思われるかもしれませんが、それでも靴の雰囲気はかなり変わります。
まずはラバーソールからご覧ください。
ラバーソールパッケージでは、製作過程でグラインダーという機械を使って形を整えていきます。
グラインダーは、紙ヤスリのついたドラムが回転する、製靴業界では定番の機械です。
街の靴修理屋さんで見たことがある方も多いかもしれません。
ラバーソールの形は、その機械のドラムがカーブに入らなければならず、ドラム径に依存するので、どうしても形が制限されてしまうのです。ウエスト形状は、木型の底面に準じた一般的な形です。
それに対してレザーソールはそのほぼ全てを手作業で進めていきます。
グラインダーも一部使いますが、トップリフト(ヒール接地面)のゴムを加工する際のみ。
そのため、造形の自由度は高くなっているのです。
では、どんな形ができるのか、さっそくご紹介しましょう。
ベヴェルドウエスト
内外両側のウエスト部分を絞り込んだ形です。
ソールを縫い付けた後、ウエスト部分の革を巻き込んで成形しています。
外側です。ウエスト部分に注目すると、アッパーの下端に沿って、丸みを帯びたソールがついているのがわかります。
こちらは内側。外側と同じく土踏まずの部分にぴったりと沿うようにソールがついています。
ウエストが細くなり、巻き込んだ形状のコバはやや丸みを帯びるため、「ベヴェルドウエスト」は繊細で優雅な雰囲気になります。
ウエストは細くしただけでは強度が落ちてしまうので、底面に厚みを持たせて剛性を高めることになります。
底面形状は下記の2通り。いずれもウエスト内部に革を積んで形を出していきます。
・ラウンド
丸みを持たせた仕上がりです。
柔らかな雰囲気で、やさしさを感じさせます。
・フィドルバック
ウエスト中心線にピークを持たせた仕上がり。
鋭く引き締まった印象になります。
内側のみべヴェルドウエスト
外側は通常の「スクエアウエスト」で、内側のみ「ベヴェルドウエスト」にすることも可能です。
外側は一般的な、コバが張り出した形。
内側は革を巻き込んだ形状。
こちらは少し前のサンプルなので、細部の仕上げ方が今と違いますが、形は概ねこのようになります。
ソール側から見たところ。
「ベヴェルドウエスト」よりも少しカジュアルな印象になるので、外羽根系の靴と合わせるのがおすすめです。
この場合、底面の形状はラウンドのみになります。
ソールの色について
ソールの形状が決まったら、色の入れ方もご指定いただけます。
全カラス仕上げ
ソール全体に色を入れる仕上げです。
その名の通り、黒いインクで仕上げる場合が多いのですが、Cacicaでは、全体に色が入っていればどんな色でも「全カラス」と呼ぶことにしています。
ソール形状説明の「内側のみべヴェルドウエスト」のサンプルが全カラス仕上げになります。
半カラス仕上げ
やはりその名前から想像がつくかもしれませんが、半分のみ色を入れる仕上げです。
ウエスト部分のみ色を入れ、前足部は革の生地色で仕上げるのが一般的です。
ソール形状説明の「ベヴェルドウエスト」のサンプル2種が、いずれも半カラス仕上げになります。
塗り分けのラインはソール形状によります。
※サンプルの「全カラス」と「半カラス」はいずれも、後足部は硬度を出すためロウを溶かし込みコーティングし、前足部は滑らないようにロウ無しで仕上げています。
着色無し
全体的に色を入れずに革の生地色のまま仕上げるやり方です。
サンプルは接地面等が少し汚れてしまっていますが、全体的に透明感がある仕上がりになります。
お好みで選んでくださいね
まとめますと、レザーソールパッケージのソールは、「形状」と「着色」の組み合わせとなります。
形状は、下記のいずれかから
・ベヴェルドウエスト(ラウンド)
・ベヴェルドウエスト(フィドルバック)
・内側のみべヴェル(ラウンド)
仕上げは下記のいずれかからお選びいただけます。
・全カラス
・半カラス
・着色なし
どの形状、仕上げをお選びいただいても追加料金はかかりません。
靴のデザインや足の形状との相性もありますが、好みでお選びいただくと良いかと思います。
「こんな色で仕上げたい」、塗り分けの形を変えてみたい」等のご要望がありましたら、採寸・打ち合わせの際にご相談ください。
その他、飾りゴテという道具で装飾を入れることもありますが、長くなりましたので、それはまた別の機会に改めてご紹介させていただきます。
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