靴のオーダーでもっとも多くご依頼いただくのが黒い靴です。
ビジネスシーンでのカジュアル化が進んでいるとはいえ、冠婚葬祭など、依然として黒い靴を履かなければならない場面も多々あるからだと思います。特に年末あたりから年明けのちょうど今頃は、新年度を見据えて黒い靴のオーダーが増えてくる頃です。

ただ、黒い革で靴をオーダーするといっても、革の種類は色々とありますので、どの革を選ぶかで完成する靴の見た目や性質はかなり違ってきます。オーダーの打ち合わせの際は、それぞれの革の違いをご案内させていただくのですが、その場で全ての情報を考え合わせてオーダーいただくのはなかなか難しいかもしれません。
そこで今回はCacicaで’26年1月現在で在庫している黒い革を、その特徴も含めてご案内させていただきます。
スムースレザー
多くの方が「革」と言われて真っ先に思い浮かべるのがこちら。
銀面(革の表面)のつるつるしたタイプの革をスムースレザーと呼びます。
栃木レザー

国産レザーでは最も名前の知られた革の一つだと思います。
北米産のステア(大判の革)をタンニン(植物の渋)で鞣した革で、多くの方が想像する「革」そのもの。
革らしい自然な風合いが特徴で、履きこんでいくと色が変化していく経年変化が楽しめます。
しっかりとした革質は履き始めにやや硬さが感じられるものの、形を覚える性質があるので、馴染んだ時は足にしっかりとフィットします。
革らしい風合いを活かした仕上げのため、濡れるとシミになることがあります。
国産タンニンキップ

質の良いオランダ産のキップ(中判の革)を兵庫県のタンナー(革をなめす工場)でタンニンなめしした革です。
そのタンナーの廃業に伴い、生産が終了してしまいましたが、Cacicaでは革屋さんに残っていたデッドストックを買い取って靴作りに使用しています。
銀面の肌理の細かさと磨き上げた艶が特徴で、今まで多くのお客さまが魅了されてきました。
栃木レザー程ではありませんが、革の風合いが感じられますし、革の色は経年で変化していきます。
革質は柔らかく、足馴染みが早いので、足の感覚が繊細な方にもおすすめです。
現時点で黒の在庫は1枚。サイズにもよりますが、2〜3足分でしょうか。
オイルドキップ

デンマーク産のキップを兵庫県のタンナーで鞣した革。
肉厚でコシのある革をオイルを入れて柔らかく仕上げており、バランスの良い革質が特徴です。
クロムなめしの顔料仕上げなので、経年変化はありませんが、靴になったときに安定した仕上がりになるので、ビジネスシーンや日常使いの靴に向いている革です。
オイルドキップを少し薄めにして柔らかく仕上げた「ソフトキップ」もあり、こちらは足の小さい方やご年配の方におすすめです。
フレンチカーフ/HAAS・CHEVERNY

フランスのタンナーHAAS社の最高級ランクの革です。
クロムなめし顔料仕上げの革ですが、細やかな銀面からは磨く前からわずかな光沢が感じられ、とても上品な印象です。
革は弾力が感じられるものの、今までご紹介した革に比べるとやや硬め。
その分、かっちりとした雰囲気になりますが、履き慣らすのには少し時間がかかるかもしれません。
国産の黒い革が青みがかった黒なのに対して、こちらの革は若干赤みが感じられる革です。
スムースレザー以外
ここからは銀面がつるつるではない革をご紹介していきます。
ビジネスシーンや冠婚葬祭の場面には向かないかもしれませんが、使い方次第で素敵な靴ができるかもしれません。
タンニンシュリンク

タンニンなめしのステアを薬品でシュリンクさせた革。
部位によって縮み方が違うため、経年変化とあわせて、その表情の違いを楽しむことができます。
履き心地は柔らかく、カジュアルな印象の靴に向いています。
スムースレザーとあわせて、コンビ使いにするのもおすすめです。
フレンチカーフ/HAAS・DERBY

スムースレザーでご紹介したCHEVERNYと同じフランスのHAAS社の革です。
一見するとシュリンクに似ていますが、こちらは型をプレスして仕上げているため、繊維が締まっており、革質は硬めです。
マットな質感で、どちらかというとカジュアルな靴に向いていますが、部分的にうまく使えばビジネスシューズとしてもお作りいただけるかもしれません。
ヌバック

手触りがさらさらとした起毛の革といえば、スエードが思い浮かぶ方も多いかもしれませんが、こちらは銀面側を細かく毛羽立たせた革です。起毛革でよく知られたスエードよりも上品な印象に仕上がります。
元々は夏向けの素材ですが、通年でご使用いただいても良いかと思います。
柔らかくカジュアルな雰囲気で、女性にも人気の革です。
革選びの参考に
以上が’26年1月現在で在庫している黒い革になります。
専門的な用語はなるべく少なくして、それぞれの革について書いたつもりですが、いかがでしょうか。
工房にお越しいただいた際に実物をご覧になってお好みの革を選んでいただくということが一番なのかもしれませんが、少しでも革選びの参考にしていただければ幸いです。
また革が入荷した際は、ブログにてご紹介させていただきますね。
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