昨年の秋に綯屋の横畠さんと直接お会いする機会があり、そこで色々な箒を見せていただきました。
その場には定番の長柄箒や半手箒、細半手もありましたが、「これだったらすぐに日常に取り入れられそう」と思える小さな箒がいくつかあったので、今回は小さな箒をメインに仕入れてみました。
荒神箒 -三つ玉編み込み-
前回ブログで紹介する間もなく売れてしまった平たい形の荒神帚です。
荒神帚は、筒型のものと、こちらの編み込みのものの2型あります。
筒型は「スス払い箒」とも呼ばれるように、天井や壁、あるいは狭いところに。
こちらの編み込みのものは面を活かしてテーブルやソファ等の家具をさっと払っていただくのに適しています。
形の好みもありますが、用途応じてお選びいただくと良いかと思います。
今回は黒糸と生成り糸の2色仕入れてみました。
編み込み小箒
デスクの上を掃除するのに最適な小さめの箒です。
穂先が広がるように編み込んでいるため、先端の密度はやや薄めで、軽やかな掃き心地。
伝統的な編み込みの技法を気軽に日常生活の中に取り入れられるのも良いところです。
こちらも黒糸と生成り糸の2色あります。
コーヒーミル箒 -ロング-
小ぶりな箒に対して長めに作られた柄は、コーヒーミルを掃除するのに適した形。
原料のホウキモロコシは横畠さんご自身が無農薬で栽培しているので、食品まわりのものにも安心してお使いいただけます。
繊細な編み込み模様がかわいらしいです。
こちらは生成り糸のみの展開です。
洋服箒mini
※’24 8/21追記
3回目の仕入れにあたり、他の箒の再入荷にあわせて、洋服帚miniがCacicaのラインナップに加わりました。
大きさは編み込み小箒よりも少し小さいくらい。
洋服箒という名前にはなっていますが、用途を問わずに使えそうです。
生成りの糸について
今回送っていただいた箒に使用している生成り糸は、実は横畠さんご自身がネコヤナギの枝で染めたものとのこと。
前回仕入れた箒にも梅や南天、インド茜などの草木染めの糸が使用されていますが、ご自身による草木染めは、厳密に仕上がりの色味を計算して染めているわけではなく、庭木の剪定で出た枝でその時その時に出た色を大切にしているそうです。
同じに見える生成りの糸も、よく見るとそれぞれ個性があり、それもまた選ぶ楽しみの一つだと思います。
綯屋の箒 軽さのひみつ
前回のブログで、「横畠さんにお会いした際に軽い掃き心地の秘密をお聞きしたい」と書いていましたが、先日お会いした際に、その秘密をお聞きすることができました。
※前回の記事は下記よりご覧ください。
それは、ホウキモロコシの収穫の仕方にありました。
通常、ホウキモロコシを収穫する際には、畑一面、一斉に刈り取って収穫するそうです。
稲を刈り取る際に機械で刈り取るのと同じですね。
横畠さんの場合は、ホウキモロコシの状態を一本一本確認しながら、より良い状態に育ったものだけを収穫していくとのこと。それにより、穂先の硬くなってしまったものが混ざることなく、適度にしなやかな穂先だけを揃えて箒に仕立てることができるのだそうです。
さらに、箒の形によって、ホウキモロコシの密度や編み込みの力加減をかえて、最適な形に仕立てているとのことでした。
お聞きすると「なるほど!」と思えますが、それを実際に続けていくには、大変な根気と手間がかかるのは、想像に難くありません。
そして、わたしたちにはもう一つ、横畠さんにお聞きしたいことがありました。
それは、箒の経年変化のこと。
天然素材を活かして製作された箒は、月日が経つにつれて青々とした色から、いつか茶色に変化していきます。
そうすると、なんとなく穂先が硬くなり、折れてしまいそうですよね。
日々愛着をもって使っていても折れて使えなくなってしまっては悲しいので、おそるおそる横畠さんにお聞きしたところ、経年変化で色が変わっても、穂先のしなやかさにはあまり影響はないとのことでした。
色の変化は自然由来のものなので、あるがままに。
そんなところも含めて、自然を感じながら心地良く使っていただけるのが綯屋の箒です。
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