本当に残念です
先日、取引先の革屋さんから連絡があり、タンナー(革を鞣しているところ)が廃業のため、こちらで使っている革が廃盤になったとのことでした。その革とは、スタンダードラインとベビーシューズで主軸となっている国産のタンニンキップ。自然な光沢と適度な弾力を感じる革で、私個人としても好きな革だったので、本当に残念でなりません。
幸い、現在オーダーいただいている分の革は確保できていますし、オーダー頻度の高い黒と焦げ茶に関しては革屋さんに残っていた在庫を買い取ったので、それぞれあと数足分はオーダーをお受けできそうです。
工房での革の在庫がなくなり次第、国産タンニンキップでのオーダー受付は終了となります。次の定番となる革の価格によっては、オーダー価格の値上げも考えなければいけないかもしれませんので、こちらの革が気になっている方は、お早めにご連絡いただければと思います。モチっと弾力のある革でソフトな履き心地が好みの方にオススメです。どんな革か見るだけでもかまいませんので、お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。
革選びについて
実は、工房を十数年やってきて定番の革が廃盤になるのは今回が3度目。
Cacicaでは、靴の価格を抑えるため、有名なブランド革の使用を極力抑えて、「質の高さ」と「価格」のバランスのとれた革を揃えるようにしています。そのような革は絶対数が少なく、あまり大々的に市場に展開されることもありませんし、資本の小さい小規模なタンナーさんが作っていることが多いので、タンナーさんの経営難等から廃盤になる確率が高くなってしまうのかもしれません。
もちろん、選んだ革は定番として継続的にお客さまに提供できなければいけませんので、その時点では、「供給が安定している」ということも視野に入れて、その革を採用するかどうかを決めています。そうやって丁寧に革を選んでいても諸般の事情が重なって廃盤になってしまうのは、仕方のないことだと思っています。
私たちの考える良い革を見つけるには、革の見本市等のイベントや革屋さんに小まめに足を運んで探すことになります。時間も労力もかかりますが、それでも、その過程は、作りたい靴に適した革に出会うためには欠かせないことだと思っています。今までも、そうやって新しい魅力のある革に出会ってきたので、今回も残念は残念ですが、また新しい素材に出会える可能性を信じて、ある程度は前向きに捉えられるようになりました。
今後のこと
今後も、上記のように根気よく地道に革を探していくつもりです。
物事の捉え方や価値観が急激に変わりつつある現在の状況では、もう少し視野を広げて、色々な観点から素材を選ぶことが必要になる気もしていますが、その辺りのことはもう少し考えがまとまってから、改めて記事にできればと思っています。
今は緊急事態宣言下のため、あちこち出歩くのは難しそうですが、いずれ、色々な革屋さんを巡って良い素材を探せたらと思っています。
また定番となる革が決まりましたら、ブログにてご案内させていただきます。
▽ こちらの記事もおすすめです